中小企業の挑戦を応援!広島県の助成金を活用した新規事業展開のすすめ – 三次・庄原・安芸高田エリア特集
1. はじめに
広島県の中山間地域である三次市、庄原市、安芸高田市。この地域では、豊かな自然環境と技術力を活かした製造業、農林業関連産業、ITサービス業など、様々な事業者が活躍しています。しかし、新規事業への挑戦や新技術開発には、資金面での課題が付きまといます。
そこで朗報です。広島県が実施する「中小・ベンチャー企業チャレンジ応援事業助成金」の二次募集が開始されました。この助成金は、地域企業の成長に向けた新たな取り組みを、資金面と専門家によるアドバイスの両面からサポートする心強い制度です。
2. 概要
まず、本助成金制度の基本的な枠組みについてご説明します。
本制度は、中小企業の皆様の「新たな挑戦」を支援することを目的としています。具体的には、新製品・新技術の研究開発、新たなソフトウェアの開発、新サービスの創出、異業種展開に向けた技術応用など、幅広い取り組みが支援対象となります。
助成金額は最大で500万円、助成率は対象となる経費の3分の2以内と、充実した支援内容となっています。特筆すべきは、この制度が単なる資金援助に留まらず、事業計画の策定から事業化までを一貫してサポートする「伴走型支援」を特徴としている点です。
対象となる経費も幅広く、機械装置の購入費用から専門家への相談費用、必要な旅費、さらには開発に携わる従業員の人件費まで、事業遂行に必要な様々な経費をカバーできる設計となっています。
3. 想定される活用事例
それでは、本助成金を活用した具体的な事例を、地域の特性を踏まえてご紹介します。
三次の伝統工芸技術を活かした新製品開発
「みよし伝統工芸(仮称)」の事例
①現状の問題点:
この企業は、代々受け継がれてきた木工技術を保有していますが、若い世代のライフスタイルの変化により、従来の製品だけでは売上の維持が困難な状況に直面していました。
②課題解決の方向性:
伝統的な木工技術と最新のIoT技術を組み合わせた、新しいスマート家具の開発を計画。具体的には、スマートフォンと連携して温度や湿度を管理できる木製収納家具の開発を目指しています。
③補助金による問題解決:
本助成金を活用することで、以下の取り組みが可能になります。
- IoTセンサーの導入と木材との融合に関する研究開発費用の確保
- 専門家からの技術指導費用の確保
- 試作品の製作と評価にかかる費用の確保
- 特許出願に関する費用の確保
庄原の農業ICTソリューション開発
「しょうばらアグリテック(仮称)」の事例
①現状の問題点:
中山間地域特有の課題である農業従事者の高齢化と人手不足に対応するため、ドローンやセンサーを活用したスマート農業システムの開発を目指していましたが、開発資金の確保が課題でした。
②課題解決の方向性:
ドローンによる農地モニタリングと、AIを活用した生育状況分析システムの開発に着手。地域の農業従事者の経験と勘を、データとして蓄積・活用できるシステムの構築を計画しています。
③補助金による問題解決:
本助成金により、以下の取り組みが実現可能となります。
- システム開発に必要なサーバー・ソフトウェアの購入
- AI開発のための専門家招聘費用
- 実証実験用ドローンの購入と改修
- 現地でのフィールドテスト費用
④補助対象者について
補助対象となる企業は、以下の要件をすべて満たす必要があります:
- 事業所要件
広島県内に本社または主たる事業所を有する中小企業であること。三次市、庄原市、安芸高田市の企業も、もちろん対象となります。 - 企業規模要件
中小企業基本法で定める以下のいずれかの条件を満たすこと:
- 製造業:資本金3億円以下または従業員300人以下
- 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
- サービス業:資本金5千万円以下または従業員100人以下
- 小売業:資本金5千万円以下または従業員50人以下
- 除外要件
以下に該当する企業は対象外となります:
- 大企業が発行済株式の2分の1以上を所有している企業
- 複数の大企業が発行済株式の3分の2以上を所有している企業
- 個人事業主
- 共同事業体(コンソーシアム)
- パートナーシップ構築宣言
応募締切日までに「パートナーシップ構築宣言」への登録を完了していることが必須条件となります。
⑤申請期限について
令和6年度二次募集のスケジュールは以下の通りです:
- 募集開始:令和6年8月19日(月)
- 事前相談期限:令和6年10月4日(金)
- 最終締切:令和6年10月18日(金)15:00必着
特に重要なのは事前相談の期限です。本助成金では、応募前の事前相談が必須となっており、10月4日までに必ず初回の相談を完了する必要があります。
⑥申請要件について
本助成金の申請にあたっては、以下の要件を満たす事業計画である必要があります:
- 事業内容に関する要件
- 新製品・新技術の研究開発
- 新たなソフトウェアの研究開発
- 新たなサービス創出のための研究開発
- 異業種展開に向けた固有技術応用の研究開発
のいずれかに該当すること
- 開発段階に関する要件
- 試作開発から試験評価までの段階であること
- 令和7年9月30日までに開発が完了すること
- 事業化に関する要件
- 助成事業終了後3年以内での事業化が見込めること
- 開発を自社が主導して行うこと
- 他の補助金との関係
- 同一内容で他の補助金を受けていないこと
- 助成期間中は他の補助金への申請ができないこと
5. 申請手順
申請から採択、事業実施までの具体的な流れについて、段階を追って詳しく説明します。
STEP1:事前準備(8月19日~10月4日)
まずは以下の準備が必要です:
- パートナーシップ構築宣言の登録
- 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトで登録
- 登録完了まで数日かかる場合があるため、早めの対応が推奨
- 必要書類の準備
- 直近2期分の決算書
- 法人県民税の納税証明書
- その他添付書類の収集
- 事前相談の申込み
- ひろしま産業振興機構への連絡
- 電話:082-240-7712
- メール:h_challenge@hiwave.or.jp
STEP2:事業計画の策定(~10月18日)
以下の書類を作成します:
- 提案書(様式1)
- 企業概要
- 事業計画の概要
- 開発目標と実施計画
- 事業計画書(別紙1)
- 具体的な実施内容
- 市場分析
- 実施体制
- 事業内容等説明書(別紙1-1)
- 技術的な特徴
- 新規性・独創性の説明
- 実現可能性の根拠
- 経費明細内訳書(別紙1-2)
- 経費区分ごとの詳細な内訳
- 積算根拠の明確化
STEP3:申請書類の提出(~10月18日15:00)
すべての書類を電子データで提出します:
- 提出方法
- メールによる電子データ送信
- 提出書類チェックシートで漏れがないか確認
- 提出先
- ひろしま産業振興機構 開発支援担当
- 提出後、受領確認のメールが届きます
STEP4:審査プロセス(10月~12月上旬)
審査は以下の流れで進められます:
- 書類審査
- 応募要件の確認
- 事業計画の実現可能性評価
- プレゼンテーション審査
- 審査委員会での説明機会
- 質疑応答への対応
- 総合評価
以下の4つの観点から総合的に判断:
- 実現性
- 発展性・市場性
- 新規性・独創性
- 地域貢献度
STEP5:採択後の流れ(12月上旬以降)
採択された場合、以下の手続きが必要です:
- 交付申請書の提出
- 採択通知受領後、速やかに申請書を提出
- 必要に応じて事業計画の修正
- 交付決定
- 内容確認後、交付決定通知が発行
- この日から正式に事業開始可能
- 事業実施
- 令和7年9月30日までに完了
- 定期的な進捗報告が必要
6. まとめ
本助成金は、三次市、庄原市、安芸高田市の中小企業の皆様にとって、以下の点で大きなメリットがあります:
メリット1:手厚い支援内容
- 最大500万円という充実した支援額
- 対象経費の2/3という高い補助率
- 幅広い対象経費の設定
メリット2:伴走型支援の特徴
- 事業計画策定から事業化までの一貫支援
- 専門家による技術的アドバイス
- 事業化に向けた継続的なサポート
メリット3:地域企業に適した制度設計
- 地域の特性を活かした事業展開が可能
- 新分野への挑戦を後押し
- 地域産業の活性化に貢献
申請に向けた実務的アドバイス
- 早期の準備着手
- パートナーシップ構築宣言の登録を早めに実施
- 事前相談の期限(10月4日)を意識した準備
- 綿密な事業計画の策定
- 市場ニーズの十分な分析
- 実現可能性の具体的な説明
- 地域への波及効果の明確化
- 専門家の活用
- 必要に応じて行政書士等への相談
- 技術面での専門家の意見徴収
お問い合わせ先
詳細な情報や個別相談については、以下までお気軽にご連絡ください:
公益財団法人ひろしま産業振興機構
ものづくり革新統括センター 開発支援担当
- 所在地:広島市中区千田町3-7-47 広島県情報プラザ3F
- 電話:082-240-7712
- メール:h_challenge@hiwave.or.jp
- 受付時間:9:00~17:00(土日祝を除く)
この助成金を活用し、地域企業の皆様の新たなチャレンジが実を結ぶことを心より願っています。まずは気軽にご相談いただければ幸いです。
何かご不明な点等ございましたら、弊所でもご相談を承っております。どうぞお気軽にお声かけ願います。