広島県中山間地域のトラック運送事業者向け支援金活用ガイド – 収益改善と環境対応の実現へ
1. はじめに
広島県の中山間地域、特に三次市、庄原市、安芸高田市のトラック運送事業者は、2024年の物流危機と呼ばれる状況に直面しています。物価高騰による経営コストの上昇、深刻な人材不足、そして環境対応の必要性など、様々な課題が山積しています。このような状況を踏まえ、広島県では物流生産性向上等支援事業支援金制度を創設しました。本記事では、備北運送(仮称)などの地域の運送事業者が活用できる支援制度について、詳しく解説していきます。
2. 概要
①補助金額
支援対象となる設備や取り組みにより、以下の金額が上限として設定されています。
- テールゲートリフター:200万円/台
- 電気トラック:1,250万円/台
- 充電設備:450万円
- 女性ドライバー向け設備:200万円/事業者
②補助率
各支援対象により以下の補助率が適用されます。
- テールゲートリフター:導入費用の2/3
- 環境対応車:基準価格差の10/10
- 充電設備:導入費用の3/4
- 女性ドライバー向け設備:整備費用の2/3
③補助対象経費
- 設備導入費用(テールゲートリフター、環境対応車両等)
- 工事費用(充電設備設置等)
- 教育訓練費用(特別教育受講料、教材費)
- 施設整備費用(女性ドライバー向け設備等)
④補助対象者
広島県内に本社、支社、本店、支店または営業所等を置く中小トラック運送事業者が対象となります。
⑤申請期限
2024年1月15日から2025年1月10日まで(予算枠到達次第終了)
⑥申請要件
- 一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の営業許可を保有
- 資本金3億円以下または従業員300人以下であること
- 緑ナンバーのトラックであること(車両導入の場合)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/67/truck2024.html
3. 想定される活用事例
①問題点
三次市を拠点とする三次中央物流(仮称)では、以下の経営課題に直面していました。
- 燃料費高騰による収益の圧迫
- ドライバーの高齢化と労働負担増加
- 女性ドライバー採用の遅れ
- 環境配慮型輸送への対応要請
②補助金による問題解決
本支援金を活用し、次のような対策を実施することで課題解決を図ることができます。
- 電気トラック導入による燃料コストの削減と環境対応の実現
- テールゲートリフター装着による作業負担の軽減
- 女性専用施設の整備による人材確保の促進
- 充電設備の設置によるインフラ整備
4. 詳細な説明
①補助金額
- テールゲートリフター導入:1台あたり上限200万円、1事業者最大10台まで申請可能
- 環境対応車導入:
- 電気トラック(車両総重量2.5トン超):1,250万円/台
- ハイブリッドトラック(4トン未満):77万円/台
- ハイブリッドトラック(4トン以上):300万円/台
- 天然ガストラック(4トン未満):73万円/台
- 充電設備:
- 急速充電設備(50kW以上):450万円
- 急速充電設備(50kW未満):324万円
- 普通充電設備:135万円
- 特別教育:
- 受講料:1万5千円/人
- 教材費(DVD):2万円/枚
- 教材費(冊子):1千円/冊
- 女性ドライバー向け施設・設備:1事業者あたり200万円
②補助率
- テールゲートリフター:取付工賃を含む導入経費の2/3
- 環境対応車:環境対応車と普通車両の基準価格差の10/10
- 充電設備:工事費用を含む導入経費の3/4
- 特別教育:受講料及び教材費の2/3
- 女性ドライバー向け設備:整備費用の2/3
③補助対象経費
- 機器購入費:テールゲートリフター本体、環境対応車両、充電設備等
- 工事費用:設備の取り付け工事、充電設備の設置工事等
- 教育費用:特別教育の受講料、必要な教材の購入費
- 施設整備費:女性ドライバー向け施設の改修・新設費用
※すべての経費について、発注前に申請が必要です
④補助対象者
次の全ての条件を満たす事業者が対象となります:
- 広島県内に事業所等を有すること
- 一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可を持つこと
- 以下のいずれかに該当すること
- 資本金が3億円以下
- 常時使用する従業員数が300人以下
⑤申請期限
- 受付開始:2024年1月15日(月曜日)
- 受付終了:2025年1月10日(金曜日)必着
※予算の執行状況により、期限前に受付を終了する場合があります
⑥申請要件
- 導入する車両は緑ナンバーのトラックであること
- 1事業者あたりの申請上限台数を遵守すること
- 補助対象となる設備や車両は新品であること
- 申請時点で事業を営んでいること
- 暴力団等の反社会的勢力でないこと
5. 申請手順
【Step 1:事前準備】
- 広島県トラック協会のウェブサイトから申請書類をダウンロード
- 導入予定設備の見積書を取得
- 事業計画書の作成準備
【Step 2:申請書類作成】
必要書類:
- 交付申請書
- 事業計画書
- 見積書(原則複数社)
- 会社概要がわかる資料
- 登記簿謄本
- 納税証明書
【Step 3:申請書類提出】
提出先:
〒733-0032 広島市西区東観音町1-24 P&P平和大通りビル2F
物流生産性向上等支援事業支援金センター
※レターパック等の追跡可能な方法での送付が必要
6. まとめ
本支援制度は、三次市、庄原市、安芸高田市をはじめとする広島県の中山間地域のトラック運送事業者にとって、経営課題を解決する重要な機会となります。特に、環境対応と作業効率化を同時に実現できる点が特徴的です。
支援金の申請に関する相談は、物流生産性向上等支援事業支援金センター(TEL:082-232-2785)で受け付けています。受付時間は平日9時から17時までです(土日祝日、年末年始12/26~1/3、お盆期間8/13~8/15を除く)。
また、申請書類の作成や要件の確認について不安がある場合は、各地域の行政書士への相談をお勧めします。専門家のサポートを受けることで、円滑な申請手続きが可能となります。
予算には限りがありますので、導入をご検討の事業者様はお早めの検討・申請をお願いいたします。