はじめに
三次市、庄原市、安芸高田市で障害福祉サービスを提供されている事業者の皆様へ朗報です。最大4,000万円の助成金を活用して、事業の拡大や設備の改善が可能となっています。今回は、西日本エリアの福祉事業者を対象とした「洲崎福祉財団」の助成金について、申請のポイントから実際の活用事例まで、詳しくご紹介します。
1. 助成金の概要と特徴
対象となる事業
- 障害児・者の自立支援事業
- 就労支援プログラムの開発・実施
- 生活スキル向上のための訓練事業
- コミュニケーション支援プログラム
- QOL向上に関する事業
- バリアフリー環境の整備
- 福祉機器の導入
- レクリエーション設備の充実
- 福祉サービスの拡充・開発
- 新規サービスの立ち上げ
- 既存サービスの品質向上
- 支援者の専門性向上プログラム
申請要件(詳細)
- 法人資格要件
- 社会福祉法人
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 公益財団/社団法人
- 一般財団/社団法人(非営利型)
- その他非営利目的の法人
- 活動実績
- 3年以上の継続的な公益活動実績
- 法人格のない団体の場合:
- 3年以上の活動実績
- 2年以内の法人化計画が必要
- 地域要件
- 西日本エリア(三重県・滋賀県・京都府以西)に本店所在地があること
- 広島県北部からの申請も対象
2. 助成金の詳細
助成期間と金額
- 支援期間:令和7年6月から最長令和10年3月まで
- 申請可能期間:2年間または3年間
- 年度総額:1億5,000万円(10件程度)
- 1件あたりの上限金額:
- 1年目:2,000万円
- 2年目:1,000万円
- 3年目:1,000万円
(最長3年間で最大4,000万円)
使途可能な経費
- 人件費
- 事業専従スタッフの給与
- 外部専門家への謝金
- パート・アルバイト賃金
- 設備・備品費
- 福祉機器購入費
- 事務機器購入費
- 什器備品購入費
- 改修工事費
- バリアフリー化工事
- 施設改修費
- 設備更新費
- 事業運営費
- 印刷製本費
- 通信運搬費
- 会議費
- 旅費交通費
3.実例から学ぶ助成金活用の成功事例
事例1:就労継続支援B型事業所「みよし工房」様の施設改修プロジェクト
(※事業所名は仮称です)
背景とプロジェクトの概要
三次市で20年以上にわたり障害者の就労支援に取り組んでこられた「みよし工房」様。主に軽作業や製菓作業を通じて、地域の障害者の自立を支援してきました。しかし、施設の老朽化や作業スペースの狭さが課題となっていました。特に、人気のある製菓部門では、設備の制限により受注を断らざるを得ないケースも発生していました。
助成金の活用内容(総額1,800万円)
同施設は、以下の3つの観点から施設改修を実施しました:
- 作業環境の改善
- 床面の段差解消と滑り止め加工
- 車いすでも使いやすい作業台の設置
- LED照明の導入による視認性の向上
- 空調設備の更新による快適な作業環境の実現
- 製菓設備の近代化
- 大型業務用オーブン(3台)の導入
- 衛生管理に配慮した作業台の設置
- 製品の品質管理のための温度管理システムの導入
- 効率的な動線を考慮した作業スペースの設計
- パッケージング工程の効率化
- 自動計量包装機の導入
- 日付印字機の設置
- 作業効率を高める収納システムの整備
具体的な成果
プロジェクト完了から1年後、以下のような具体的な成果が表れました:
- 作業効率の向上
- 1日あたりの製菓生産量が従来の130個から190個へ増加
- パッケージング作業時間が1個あたり平均2分から1分に短縮
- 不良品率が5%から1%未満に改善
- 利用者への好影響
- 工賃が月平均15,000円から18,000円に増加
- 利用者の満足度調査で「作業がしやすくなった」との回答が92%
- 新規利用者が5名増加(定員充足率100%を達成)
- 経営面での改善
- 月間売上が約150万円から220万円に増加
- 新規取引先が3社から8社に増加
- 製品の品質が安定し、リピート注文が40%増加
事例2:グループホーム「あきたかた寮」様の送迎支援強化プロジェクト
(※施設名は仮称です)
背景と課題
安芸高田市で障害者グループホームを運営する「あきたかた寮」様は、入居者15名の生活をサポートしていました。しかし、地域の特性上、公共交通機関が限られており、通所施設への送迎や買い物、通院などの移動支援が大きな課題となっていました。特に冬季の積雪時期には、移動の制約が顕著でした。
助成金活用の詳細(総額1,500万円)
- 車両整備によるモビリティの向上
- 車いす2台同時搭載可能な福祉車両の導入
- リフト付き車両の新規購入
- 積雪対応の四輪駆動車の配備
- 送迎システムの構築
- クラウド型配車管理システムの導入
- 職員用タブレット端末10台の整備
- GPSによる車両位置管理システムの実装
- 緊急時対応マニュアルの整備
プロジェクトの具体的成果
- 送迎サービスの改善
- 定期送迎ルートを2コースから4コースに拡充
- 緊急送迎への対応時間が平均45分から15分に短縮
- 利用者一人あたりの外出回数が月平均3回から7回に増加
- 利用者のQOL向上
- 地域活動への参加機会が2倍に増加
- 定期的な買い物外出が可能に(週1回実施)
- 医療機関への通院がスムーズに
- 運営面での改善
- 職員の送迎業務時間が1日あたり平均2時間短縮
- 燃料費が20%削減(効率的なルート設定による)
- 送迎に関する家族からの満足度が89%に向上
事例3:発達障害支援センター「しょうばら」様の機能強化プロジェクト
(※センター名は仮称です)
背景と目的
庄原市で発達障害児・者の支援を行う「しょうばら」様は、年々増加する支援ニーズに対応するため、支援の質的向上と量的拡大を目指していました。特に、専門的な支援機器の導入と職員の専門性向上が急務となっていました。
助成金の具体的活用(総額2,000万円)
- 専門的支援環境の整備
- 感覚統合療育室の新設
- クライミングウォール設置
- スイングハンモック導入
- バランスボール等の感覚統合教材整備
- コミュニケーション支援機器の導入
- タブレット型AAC機器20台
- 視覚支援用大型ディスプレイ
- コミュニケーションボード作成システム
- アセスメント用具の充実
- 発達検査キット一式
- 感覚プロファイル検査セット
- 行動観察システム
- 人材育成システムの構築
- オンライン研修システムの導入
- Web会議システムの整備
- 研修動画アーカイブの作成
- e-ラーニングプラットフォームの構築
- 専門研修プログラムの開発
- 外部専門家による研修カリキュラム作成
- 実践的トレーニングプログラムの構築
- スーパービジョン体制の確立
実現された具体的成果
- 支援体制の充実
- 1日あたりの支援可能人数が15名から25名に増加
- 待機期間が平均3ヶ月から2週間に短縮
- 個別支援計画の作成時間が1件あたり2時間から1時間に短縮
- 支援の質的向上
- 利用者の目標達成率が60%から85%に向上
- 保護者満足度調査で「大変満足」の回答が75%に上昇
- 他機関からの紹介件数が月平均5件から12件に増加
- 職員の専門性向上
- 職員の資格取得者が5名増加
- ケース会議での提案内容が充実
- 地域の他施設への助言・支援が可能に
- 地域支援体制への貢献
- 地域の保育所・幼稚園への巡回支援が月20か所に拡大
- 教育機関との連携会議が定期開催に
- 地域の支援者向け研修会を年6回実施
4. 申請のポイントと評価のされ方
重視される評価ポイント
- 社会的意義
- 地域における必要性
- 支援の緊急性
- 社会課題への対応力
- 実現性と独創性
- 具体的な実施計画
- 新しい支援アプローチ
- 創意工夫の度合い
- 波及効果
- 地域への影響力
- モデルケースとしての可能性
- 他施設への展開可能性
- 継続性
- 助成終了後の運営計画
- 収支計画の実現性
- 人材確保・育成計画
5. 申請手順と必要書類
申請の流れ
- 事前準備(2ヶ月程度)
- 事業計画の策定
- 必要書類の収集
- 見積書の取得
- 申請書類の作成(1ヶ月程度)
- 申請書の記入
- 添付書類の準備
- 予算書の作成
- 申請書類の提出
- 期限:令和6年12月21日(消印有効)
- 提出方法:郵送のみ
必要書類一覧
- 基本書類
- 提出書類チェックシート
- 助成金申請書
- 組織相関図
- 事業関連書類
- 事業計画書
- 活動予算書
- 見積書
- 団体関連書類
- 定款
- 役員名簿
- 過去3年分の事業報告書
- 過去3年分の決算書
6. 専門家への相談について
行政書士への相談のメリット
- 申請書類の作成支援
- 的確な事業計画の立案
- 予算書の作成アドバイス
- 添付書類の整備支援
- 審査のポイント把握
- 選考基準への対応
- アピールポイントの明確化
- 書類の完成度向上
- 継続的なサポート
- 交付後の報告書作成支援
- 計画変更時の対応
- 次回申請へのアドバイス
相談時の準備物
- 事業計画関連
- 事業の概要資料
- 予算の概算
- 実施スケジュール案
- 団体資料
- 定款
- 過去の事業報告書
- 決算書
まとめ
広島県北部の三次市、庄原市、安芸高田市で障害福祉事業を運営されている皆様、この機会に洲崎福祉財団の助成金を活用した事業拡大や設備改善を検討してみませんか?
特に、新型コロナウイルスの影響で施設の改修や設備の更新を控えていた事業所にとって、この助成金は大きなチャンスとなります。
申請をお考えの方は、まずは地域の行政書士に相談することをお勧めします。専門家のサポートを受けることで、より確実な申請が可能になります。
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