令和5年度補正予算第4次公募:物流拠点機能強化支援事業(非常用電源設備の導入補助)

広島県三次市・庄原市・安芸高田市の中小企業向け物流拠点機能強化支援事業活用事例(予想)

目次

1. はじめに

広島県北部に位置する三次市、庄原市、安芸高田市は、中国地方の物流の要衝として重要な役割を担っています。特に中国自動車道と浜田自動車道が交差する三次市、国道432号線が通る庄原市、広島都市圏へのアクセスに優れた安芸高田市は、それぞれが独自の地理的特性を活かした物流ネットワークを形成しています。

しかし、近年の気候変動に伴う自然災害の増加により、これらの地域の物流拠点が直面するリスクは年々高まっています。特に、広島県北部特有の大雪や豪雨による停電は、物流機能の維持に大きな課題をもたらしています。このような背景から、令和5年度補正予算第4次公募による物流拠点機能強化支援事業は、地域の物流機能を強化する絶好の機会となっています。

2. 概要

本支援事業の核となる部分について、具体的にご説明いたします。

https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000843.html

①補助金額

補助金の上限額は1拠点あたり1,000万円です。この金額は、三次市や庄原市、安芸高田市の物流拠点の規模感を考慮すると、必要な非常用電源設備の導入に十分な額と言えます。たとえば、三次みらい物流センター(仮称)のような中規模物流施設であれば、必要な発電設備の導入にかかる費用の半額を十分にカバーできる金額となっています。

②補助率

補助対象経費の2分の1以内という補助率が設定されています。これは事業者負担を大きく軽減するものです。例えば、1,500万円の非常用電源設備を導入する場合、最大750万円の補助を受けることができます。庄原グリーン物流(仮称)のような事業者であれば、計画していた設備投資の実現可能性が大きく高まることになります。

③補助対象経費

補助対象となる経費は、以下の項目を含む包括的なものとなっています:

非常用電源設備の導入費用には、設備本体の購入費用はもちろんのこと、以下の関連費用も含まれます:

  • 発電設備または蓄電池システムの本体費用
  • 設置工事に必要な基礎工事費用
  • 電気配線工事費用
  • 設計費用(設備配置、電気系統の設計等)
  • 導入後の試運転調整費用

例えば、安芸高田エクスプレス(仮称)が導入を検討している大型発電設備の場合、設備本体価格1,200万円に加え、設置工事費300万円、設計費100万円などの経費も補助対象となります。

④補助対象者

本事業の対象となる事業者は多岐にわたります:

三次市、庄原市、安芸高田市で事業を営む以下の事業者が対象となります:

  1. 倉庫事業者
  2. 貨物利用運送事業者
  3. トラックターミナル事業者
  4. 貨物運送事業者
  5. 物流不動産開発業者

倉庫事業者 例:

  • 三次ロジスティクスパーク(仮称)のような大規模倉庫施設
  • 庄原フルーツストック(仮称)のような農産物専門倉庫
  • 安芸高田集配センター(仮称)のような地域密着型倉庫

貨物利用運送事業者 例:

  • みよし総合物流(仮称)のような複合的な物流サービス提供事業者
  • 庄原エクスプレス(仮称)のような特定地域特化型事業者
  • 安芸高田配送サービス(仮称)のような小規模多機能型事業者

トラックターミナル事業者 例:

  • 三次中継センター(仮称)のような広域物流拠点
  • 庄原トラックステーション(仮称)のような中継物流拠点
  • 安芸高田トランスポート(仮称)のような地域配送拠点

⑤申請期限

申請期限は令和6年(2024年)10月10日から12月13日までとなっています。この期間設定について、以下の点に特に注意が必要です:

申請準備のタイムライン:

  • 10月上旬:事業計画の策定開始
  • 10月中旬~11月上旬:必要書類の収集と準備
  • 11月中旬~下旬:申請書類の作成
  • 12月初旬~中旬:最終確認と提出

⑥申請要件

「物流拠点機能強化支援事業」(非常用電源設備の導入補助)の申請要件は以下の通りです:

  1. 施設規模要件:
  • 小規模施設(施設面積1000㎡未満)でないこと
  1. 災害対応適合性:
  • 「大規模地震・津波災害応急対策対処方針」の考え方に適合する施設であること
  1. 地方自治体との協力:
  • 災害時における地方自治体への協力への意思表明等を行うこと
  1. 補助対象施設であること:
  • 営業倉庫
  • トラックターミナル
  • 貨物運送事業者の集配施設
  • 貨物利用運送事業者の保管等施設
  • 物流不動産
  1. 補助対象設備の導入:
  • 非常用電源設備(発電設備又は蓄電池)を導入すること
  1. 事業継続計画(BCP)の策定:
  • 実績報告時までにBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定していること

3. 想定される活用事例

①問題点

地域特有の課題と、それに伴う具体的な問題点を見ていきましょう:

三次みらい物流センター(仮称)の場合:
中国地方有数の農産物集積地である三次市で事業を展開するこの物流センターでは、夏季の豪雨による停電時に冷蔵設備が停止するリスクを抱えています。特に、地域の特産品であるアスパラガスやトマトなどの生鮮食品の品質維持が課題となっています。

庄原グリーン物流(仮称)の場合:
中国山地に位置する庄原市で冬季の物流を担うこの事業者では、大雪による停電時に物流管理システムが停止するリスクがあります。特に12月から2月にかけての積雪期に、配送計画の立案や在庫管理に支障をきたす可能性が高くなっています。

安芸高田ロジスティクス(仮称)の場合:
広島都市圏への物流の要となっているこの事業者では、災害時の電力供給不安定化により、配送センターの機能維持が困難になるリスクを抱えています。特に、地域の製造業との連携における物流機能の維持が課題となっています。

②補助金による問題解決

各事業者の課題に対する具体的な解決策を見ていきましょう:

三次みらい物流センター(仮称)の解決策:
この補助金を活用して200kVAの非常用発電設備を導入することで、停電時でも冷蔵設備を継続して運転することが可能となります。これにより:

  • 農産物の品質維持が可能に
  • 生産者からの信頼向上
  • 取引先への安定供給体制の確立

庄原グリーン物流(仮称)の解決策:
大容量蓄電池システムの導入により:

  • 物流管理システムの24時間稼働保証
  • 配送計画の途切れない立案
  • 在庫管理の継続的な実施

安芸高田ロジスティクス(仮称)の解決策:
ハイブリッド型電源システム(発電機+蓄電池)の導入により:

  • 配送センター機能の完全維持
  • 製造業との物流連携の継続
  • 都市圏への物流網の確保

4. 詳細な説明

①補助金額

補助金額の詳細について、具体的な計算例を示しながら説明します:

最大補助額1,000万円の活用例:

  • 発電設備導入の場合:
    設備費用1,600万円+工事費用400万円=総額2,000万円
    →補助金額1,000万円(上限適用)
  • 蓄電池システム導入の場合:
    システム費用1,400万円+工事費用200万円=総額1,600万円
    →補助金額800万円(1/2の補助率適用)

②補助率

補助率2分の1の意味するところを、具体的な数値で説明します:

例1:小規模導入の場合

  • 総事業費800万円の場合
    →補助金額400万円(補助率1/2適用)
    →自己負担額400万円

例2:大規模導入の場合

  • 総事業費2,400万円の場合
    →補助金額1,000万円(上限適用)
    →自己負担額1,400万円

③補助対象経費

対象となる経費の詳細を、具体的な項目と金額例で説明します:

  1. 設備本体費用の例:
  • 発電設備(200kVA):1,200万円
  • 蓄電池システム(100kWh):1,000万円
  • 切替盤・制御装置:200万円
  1. 工事費用の例:
  • 基礎工事:100万円
  • 電気配線工事:150万円
  • 設置工事:100万円
  1. 設計・管理費用の例:
  • 基本設計:50万円
  • 実施設計:80万円
  • 工事管理費:70万円

④補助対象者

対象となる事業者の具体的な要件と例:

  1. 倉庫事業者の場合:
  • 営業倉庫の許可を持つ事業者
  • 物流機能を有する倉庫施設の運営者
  • 共同配送センターの運営者
  1. 貨物利用運送事業者の場合:
  • 第一種貨物利用運送事業の登録者
  • 複合一貫輸送に携わる事業者
  • 国際物流を行う事業者
  1. トラックターミナル事業者の場合:
  • 一般トラックターミナル事業の許可者
  • 貨物積替施設の運営者
  • 共同輸送拠点の運営者

⑤申請期限

申請期限に関する重要事項を時系列で説明します:

準備段階(9月~10月上旬):

  • 事業計画の策定
  • 見積書の取得
  • 設計図面の準備

申請受付期間(10月10日~12月13日):

  • 書類の最終確認
  • 申請書の提出
  • 不備対応期間の確保

⑥申請要件

申請要件の詳細を、具体的な例を挙げながら説明します:

  1. 事業実態に関する要件:
  • 過去3年間の事業実績
  • 物流事業の許認可状況
  • 設備導入場所の所有権または使用権の確認
  1. 設備規模に関する要件:
  • 施設規模に応じた適切な発電容量
  • 必要電力量の算出根拠
  • 既存設備との整合性
  1. 事業継続性に関する要件:
  • 設備の維持管理計画
  • 運用担当者の選任
  • 災害時の運用手順の策定

5. 申請手順

申請から採択までの流れを、具体的な時間軸とともに説明します:

Step 1:事業計画の策定(所要時間:2~3週間)

事業計画には以下の要素を盛り込む必要があります:

  • 現状の課題分析
  • 導入設備の選定理由
  • 期待される効果の定量的説明
  • 運用計画の詳細
  • 収支計画の試算

Step 2:必要書類の準備(所要時間:2週間)

準備が必要な書類には以下のものが含まれます:

  • 申請書類一式
  • 事業者資格証明書類
  • 設備の詳細な見積書
  • 導入予定場所の図面
  • 既存設備の写真
  • 運用計画書

Step 3:申請書類の作成(所要時間:1~2週間)

申請書類作成時の重要ポイント:

  • 事業の必要性の明確な説明
  • 具体的な数値目標の設定
  • 実現可能な実施スケジュール
  • 適切な経費配分の提示
  • リスク対策の明確化

Step 4:申請書類の提出(締切:12月13日)

提出時の注意点:

  • 提出前の最終チェックリストの確認
  • 必要書類の過不足確認
  • 記入漏れ・押印漏れの確認
  • 期限に余裕を持った提出

Step 5:審査・採択(所要時間:1~2ヶ月)

審査のポイント:

  • 事業の実現可能性
  • 費用対効果の妥当性
  • 地域への貢献度
  • 災害対応力の向上度
  • 継続的な運用体制の確実

6. まとめ

本事業は、広島県北部の物流拠点の災害対応力を飛躍的に向上させる重要な機会です。特に、三次市、庄原市、安芸高田市の物流事業者にとって、以下の点で大きな意義があります。

地域特性に応じた活用価値:
三次市の事業者においては、中国自動車道と浜田自動車道の結節点という立地を活かした広域物流拠点としての機能強化に活用できます。物流ネットワークの要として、非常用電源設備の導入は事業継続性を高める重要な投資となるでしょう。

庄原市の事業者においては、中国山地特有の気象条件(大雪、豪雨等)に対する備えとして、この補助金を活用することで、年間を通じた安定的な物流サービスの提供が可能となります。

安芸高田市の事業者においては、広島都市圏への近接性を活かした物流機能の強化に活用できます。特に製造業との連携における物流機能の維持強化は、地域経済の安定化に大きく貢献することでしょう。

補助金活用のポイント:
本補助金を最大限活用するためには、以下の点に注意が必要です:

  • 事業計画の綿密な策定と実現可能性の検証
  • 適切な規模の設備選定と費用対効果の検討
  • 地域防災計画との整合性確保
  • 継続的な運用・維持管理体制の構築

さらなる活用に向けて:
補助金申請に関する具体的なアドバイスが必要な場合は、地域の行政書士への相談をお勧めします。各市の行政書士は、地域の特性を熟知し、多くの補助金申請支援の実績を持っています。特に以下のような支援が期待できます:

  • 申請書類の作成支援
  • 事業計画の策定アドバイス
  • 必要書類の準備指導
  • 申請後のフォローアップ

本補助金制度は、広島県北部の物流機能の強靭化に向けた重要な一歩となります。地域の特性を活かした戦略的な活用により、災害に強い物流ネットワークの構築が期待されます。

補助金に関する具体的な相談や申請支援については、どうぞお気軽におたずねください。

本記事が、三次市、庄原市、安芸高田市の物流事業者の皆様にとって、補助金活用の一助となれば幸いです。災害に強い物流ネットワークの構築に向けて、この機会を積極的に活用されることをお勧めいたします。

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