三次市・庄原市・安芸高田市の農業を通じた地域活性化を目指して ~産直ドミノ基金®アワード2024活用ガイド~
1. はじめに
広島県北部に広がる中国山地。その豊かな自然に抱かれた三次市、庄原市、安芸高田市では、代々受け継がれてきた農林水産業が今、大きな転換期を迎えています。高齢化による担い手不足、デジタル化への対応、そして持続可能な経営モデルの確立など、様々な課題が山積しています。
こうした状況の中、ドミノ・ピザジャパンが2022年4月に設立した産直ドミノ基金®が、地域の農林水産業の未来に向けた新たな光を投げかけています。「ピザでつながる」という企業理念のもと、食を通じた地域との結びつきを大切にしてきた同社が、地域の農林水産業の持続的な発展を支援する取り組みを始めました。
2. 概要
産直ドミノ基金®アワード2024は、単なる資金援助プログラムではありません。地域の農林水産業が直面する課題に対して、革新的なアプローチで解決を目指す団体を表彰し、その活動を全国に発信する取り組みです。
支援内容として、各部門の受賞団体には10万円から100万円の賞金が贈られます。この賞金額は、活動の規模や内容、将来性、地域への貢献度などを総合的に判断して決定されます。さらに、受賞団体には表彰状が授与され、その革新的な取り組みがメディアを通じて全国に紹介される機会が提供されます。
特に注目すべきは、5つの重点テーマが設定されている点です。「農福・林福・水福連携」「若手従事者」「スマート農業・林業・漁業」「子どもと農業・林業・漁業」「地域と農業・林業・漁業」の各分野で、地域に根ざした独自の取り組みを募集しています。さらに、特に優れた活動にはCEO特別賞が用意されています。
https://www.dominos.jp/sanchoku/charity/koubo
3. 想定される活用事例
広島県北部地域における具体的な活用事例を、各市の特性を活かした形で詳しく見ていきましょう。
三次市の取り組み:デジタル技術で農業の未来を切り拓く
三次スマートアグリ推進センター(仮称)は、ICT技術を活用した新しい農業モデルの構築に取り組んでいます。具体的には、ドローンによる農薬散布やセンサーを使った土壌管理など、最新技術の導入を進めています。しかし、導入コストや技術指導の体制づくりが課題となっていました。
「スマート農業・林業・漁業の部門」への応募により、センターでは以下の取り組みを計画しています:
- 若手農業者向けのICT活用研修プログラムの開発
- 地域の農業者が共同利用できるドローンステーションの設置
- データ分析に基づく効率的な栽培管理システムの構築
これにより、若手就農者の確保と既存農家の経営効率化を同時に実現することを目指しています。
庄原市の取り組み:高齢者と障がい者が輝く農業を目指して
庄原ユニバーサルファーム研究会(仮称)では、「農福・林福・水福連携」の部門で応募を予定しています。高齢化が進む農家と、就労の機会を求める障がい者をマッチングし、双方にとって価値のある農業活動を展開する計画です。
具体的な取り組みとして:
- 障がい者が使いやすい農業機器の開発とテスト運用
- 高齢農家と障がい者をつなぐコーディネーター育成プログラム
- 収穫物を活用した6次産業化プロジェクト
これらの活動を通じて、農業分野における新しい雇用モデルの確立を目指しています。
安芸高田市の取り組み:郷土の食文化を次世代に伝える
安芸高田食農教育ネットワーク(仮称)は、「子どもと農業・林業・漁業の部門」での応募を検討しています。地域の小中学校と連携し、子どもたちが農業体験を通じて食の大切さを学ぶプログラムを実施してきました。しかし、より体系的なカリキュラムの開発と、活動範囲の拡大が課題となっていました。
アワードでは以下の取り組みを提案しています:
- 年間を通じた体験型食農教育プログラムの開発
- 地域の伝統野菜の栽培と食文化継承プロジェクト
- 収穫物を使った料理教室と地域交流イベントの開催
- オンラインを活用した農業体験記録の発信
これらの活動により、子どもたちの食への興味関心を高め、将来の担い手育成にもつながることが期待されています。
4. 詳細な説明
①補助金額の詳細
産直ドミノ基金®アワード2024では、活動内容に応じて10万円から100万円の賞金が用意されています。賞金額は以下の評価基準に基づいて決定されます:
- 活動の社会的インパクト:地域課題の解決にどの程度貢献できるか
- 継続性:活動を持続的に展開できる体制が整っているか
- 発展性:他地域への展開や活動規模の拡大が見込めるか
- 革新性:従来にない新しいアプローチや手法を含んでいるか
- 地域との協働:地域の多様な主体との連携が図られているか
②補助率について
本アワードの特徴として、活動全体に対する補助率ではなく、活動の価値や可能性を評価した上で決定される賞金制を採用しています。これにより、小規模であっても革新的な取り組みに対して十分な支援が可能となっています。
③補助対象経費の活用方法
受賞団体には、以下のような経費に賞金を活用していただけます:
設備投資関連:
- 農業機械や ICT機器の購入
- 施設の改修や環境整備費用
- 作業補助具の開発・製作費
人材育成関連:
- 研修プログラムの開発費
- 講師招聘費用
- 教材作成費
- 視察研修費用
広報・普及活動関連:
- 活動記録の制作費
- ウェブサイト構築費
- 広報資料作成費
- イベント開催費用
④補助対象者の詳細要件
応募可能な団体について、具体的に説明します:
非営利組織:
- 任意団体:地域の農業研究会や食育グループなど
- NPO法人:環境保全や地域振興を目的とした団体
- 一般社団法人:農業支援や福祉農業を推進する組織
- 協同組合:農業協同組合や林業組合など
教育関連組織:
- 学校の農業クラブや食育サークル
- 地域の子ども会や青少年育成組織
- 生涯学習センターの農業講座など
農業法人:
- 認定農業者の法人
- 集落営農組織
- 農業生産法人
⑤申請期限とスケジュール
産直ドミノ基金®アワード2024では、以下のスケジュールで審査と選考が進められます:
応募期間:
2024年11月11日から2025年1月10日18時まで
この期間中、オンラインでの申請を受け付けます。締切直前は応募が集中する可能性があるため、余裕を持った申請準備が推奨されます。
選考期間:
2025年1月11日から2月6日
提出された申請書類をもとに、産直ドミノ基金®の選考委員会による厳正な審査が行われます。必要に応じて、追加資料の提出や現地視察が実施される場合があります。
結果発表:
2025年2月7日を予定
各部門の受賞団体が公表され、その後、順次、授賞式の日程調整が行われます。
⑥申請要件の詳細説明
応募にあたっては、以下の要件を満たす必要があります。
活動の公開性:
受賞団体には、その活動内容を広く社会に発信することが求められます。具体的には:
- 団体名や活動内容のウェブサイトでの公開
- 活動参加者の写真や映像の使用許可
- SNSなどでの情報発信への協力
※個人情報保護に配慮が必要な場合は、応募時にその旨を申請書に記載することができます。
授賞式への参加:
受賞団体の活動現場で授賞式を開催することが前提となります。これは:
- 地域の実情や活動の様子を直接伝える機会となる
- メディアを通じて活動を広く発信できる
- 他の団体との交流や情報交換の場となる
なお、代表者が参加できない場合は、活動に携わる方が代理で出席することも可能です。
5. 申請手順
申請に際しては、以下の手順で準備を進めることをお勧めします:
第1ステップ:申請準備
- 活動内容の整理
- これまでの活動実績のまとめ
- 課題解決に向けた具体的なアプローチの検討
- 期待される成果の明確化
- 必要書類の収集
- 団体の規約や定款の確認
- 活動実績を示すパンフレットや報告書の準備
- 推薦者コメントの依頼と作成
第2ステップ:申請書類の作成
- 応募フォームのダウンロード
- 必要事項の記入
- 団体概要の説明
- 活動計画の詳細な記述
- 期待される成果の具体的な提示
- 添付書類の準備
- 推薦者コメント
- 団体の規約・定款
- 活動内容を示す資料
第3ステップ:オンライン申請
- エントリーフォームへのアクセス
- 必要事項の入力
- 添付書類のアップロード
- 内容の最終確認
- 申請の完了
6. まとめ
産直ドミノ基金®アワード2024は、広島県北部地域の農林水産業の未来を切り開く重要な機会です。地域特有の課題に対して、独自の視点で解決策を提案し、実行する団体を支援するこのプログラムは、単なる資金援助にとどまらない価値を提供します。
応募を検討されている団体は、まず一般社団法人産直ドミノ基金(メール:sanchokudomino.jim@gmail.com)に相談することをお勧めします。また、申請書類の作成にあたっては、各市の農業委員会や行政書士への相談も効果的です。ご不明な点等ございましたら、どうぞお気軽にお声かけ願います。