郷土の宝を次世代へ!令和7年度ひろしま文化振興財団助成金活用ガイド
1. はじめに
広島県の中山間地域である三次市、庄原市、安芸高田市には、先人たちが大切に守り続けてきた貴重な文化遺産があります。比婆山麓に伝わる神楽、庄原の伝統的な祭事、安芸高田の民謡など、各地域に根付いた文化は地域のアイデンティティそのものです。
しかし、これらの伝統文化は今、大きな岐路に立っています。少子高齢化による担い手不足、活動資金の確保、記録・保存方法など、様々な課題に直面しています。そこで注目したいのが、公益財団法人ひろしま文化振興財団が実施する文化活動助成事業です。本記事では、この助成金を活用した地域文化の保存・継承の具体的な方法をご紹介します。
2. 概要
この助成金制度は、県民の自主的な文化活動を支援し、地域ならではの個性豊かな文化の発展を目指すものです。令和7年度の事業では、以下のような支援が用意されています。
助成金額は1事業あたり上限10万円となっています。対象となる経費には、会場使用料、講師への謝金、広報用チラシの印刷費、記録用の写真撮影費用などが含まれます。
申請できるのは、広島県内に活動拠点を持つ文化活動団体です。ただし、政治団体や宗教団体、特定の流派に関係する団体は対象外となります。また、申請期間は令和6年11月15日から令和7年1月17日までとなっています。
http://www.h-bunka.or.jp/zaidan/josei/r07/boshu.html
3. 想定される活用事例
ここでは、三次市を例に具体的な活用事例をご紹介します。
三次市比婆山麓神楽保存会(仮称)は、地域に400年以上伝わる伝統芸能の保存・継承に取り組んでいます。現在、会員の高齢化が進み、若手への技術伝承が喫緊の課題となっています。また、貴重な衣装や道具の修繕、演目の映像記録作成なども必要とされています。
この助成金を活用することで、以下のような取り組みが可能となります:
- 後継者育成プログラムの実施
- 月2回の技術伝承講習会の開催
- 熟練者による指導と実践
- 若手育成のための基礎教材の作成
- 伝統文化のデジタルアーカイブ化
- 代表的な演目の映像記録
- 衣装・道具の写真撮影と解説作成
- 音声による口伝の記録保存
- 地域への情報発信
- 活動報告書の作成と配布
- 地域の文化祭での成果発表
- SNSを活用した情報発信
4. 詳細な説明
それでは、助成金の具体的な内容について詳しくみていきましょう。
①補助金額について
上限額は10万円です。これは例えば、技術伝承講習会の会場費(2万円)、講師謝金(3万円)、記録用機材レンタル(2万円)、報告書作成費(3万円)といった使い方が可能です。
②補助対象となる経費
主な対象経費は以下の通りです:
- 会場使用料や機材のレンタル料
- 講師への旅費と謝金
- チラシやポスターの印刷費
- 新聞やウェブでの広告宣伝費
- 写真・映像による記録費用
③申請できる団体の要件
申請を検討されている団体は、以下の条件を全て満たす必要があります:
- 団体の規約や会則が整備されていること
- 代表者と所在地が明確であること
- 会計処理が適切に行われていること
- 一定の活動実績があること
- メンバーの多くが非職業的な活動者であること
- 特定の政治・宗教団体や流派と関係がないこと
5. 申請手順
申請は以下の手順で行います:
- 事前準備(11月~12月)
- 団体内での事業計画の策定
- 必要経費の見積もり取得
- 申請書類の作成準備
- 申請書類の作成(12月~1月)
- 助成金申請書(様式第1号)の作成
- 事業概要書の作成
- 収支予算書の作成
- 団体概要書の作成
- 申請書類の提出(1月17日締切)
- 所在地の市町または市町教育委員会の文化担当課へ提出
- 必要に応じて内容の補正対応
- 交付決定後の手続き
- 事業の実施
- 実績報告書の作成と提出
- 助成金の受け取り
6. まとめ
この助成金制度は、三次市、庄原市、安芸高田市の文化活動団体にとって、地域文化を守り継承していくための貴重な機会です。特に、限られた予算の中で活動を続けている団体にとって、10万円という助成金は大きな支援となります。
申請にあたっては、各市の文化担当課に相談することをお勧めします。また、申請書類の作成に不安がある場合は、地域の行政書士に相談することもできます。地域の文化を次世代に引き継ぐため、この機会を助成金を積極的に活用されることをお勧めします。