はじめに
広島県三次市、庄原市、安芸高田市の農業経営者の皆様、こんにちは。農林水産省が発表した「令和6年度(第2回)経営局関係補助金等」について、地域の特性を踏まえた活用方法をご紹介します。
この補助金は、新規就農者の確保や雇用就農の促進、女性の就農環境改善、外国人材の活用など、多岐にわたる支援を行うものです。三次市の果樹園経営者、庄原市の畜産農家、安芸高田市の有機農業実践者など、様々な形態の農業経営者にとって、事業拡大や経営改善の大きなチャンスとなる可能性があります。
概要
「令和6年度(第2回)経営局関係補助金等」は、以下の6つの事業を対象としています。
- 新規就農者確保緊急円滑化対策のうち農業の魅力発信支援事業(就1)
- 雇用就農緊急対策のうち雇用体制強化事業(就2)
- 雇用就農緊急対策のうち女性の就農環境改善・活躍推進事業(就3)
- 雇用就農緊急対策のうち外国人材呼込み体制強化支援事業のうち現地説明・相談会の開催支援(就4)
- 雇用就農緊急対策のうち外国人材呼込み体制強化支援事業のうち外国人材育成支援(就5)
- 畜産生産性向上等緊急支援対策のうち畜産生産性向上技術提供体制構築事業(監1)
各事業の詳細な補助金額、補助率、対象経費、対象者、申請期限、申請要件については、後述の「詳細な説明」セクションでご紹介します。
活用事例 予想
ここでは、三次市、庄原市、安芸高田市の農業経営者が、この補助金をどのように活用できるか、具体的な事例を予想してみましょう。
三次市みよし梨園(仮称)の事例
状況:創業50年の老舗果樹園。
後継者不足に悩んでおり、「新規就農者確保緊急円滑化対策のうち農業の魅力発信支援事業(就1)」を活用して新たな展開を目指しています。
- 問題点
- 後継者不足により、栽培技術の継承が困難
- 若者の農業離れによる人材確保の難しさ
- 果樹園の魅力を効果的に発信する機会の不足
- 補助金による問題解決
地元の高校や大学と連携し、果樹栽培の魅力を伝える体験プログラムを開発。SNSを活用した情報発信や、梨の収穫体験イベントの開催など、多角的なアプローチで若者の関心を集めることに成功しました。結果として、2名の新規就農希望者を確保し、技術継承の道筋をつけることができました。
庄原市ひばら和牛牧場(仮称)の事例
状況:高品質な和牛の生産で知られる畜産農家。
「畜産生産性向上等緊急支援対策のうち畜産生産性向上技術提供体制構築事業(監1)」を活用し、生産性の向上と労働環境の改善を目指しました。
- 問題点
- 労働集約的な作業による従業員の負担増
- 生産性向上のための新技術導入コストの高さ
- 熟練技術者の高齢化による技術継承の課題
- 補助金による問題解決
最新のIoT技術を導入し、牛舎内の環境モニタリングシステムや自動給餌システムを整備。作業効率が大幅に向上したほか、AIを活用した健康管理システムの導入で早期の疾病発見と適切な処置が可能に。結果として労働時間が削減され、生産性が20%向上。若手従業員の確保にもつながりました。
安芸高田市あきたかた有機農園(仮称)の事例
状況:地域特産の有機野菜の生産に力を入れる農園。
「雇用就農緊急対策のうち女性の就農環境改善・活躍推進事業(就3)」を活用し、女性農業者の活躍推進と経営の多角化を図りました。
- 問題点
- 女性農業者の就労環境の整備不足
- 有機農業の技術継承と新規参入者の確保の難しさ
- 地域特産品のブランド化と販路拡大の課題
- 補助金による問題解決
女性農業者向けの研修プログラムを開発し、有機農業の技術指導だけでなく経営やマーケティングのスキルアップ研修も実施。さらに、子育て中の女性も参加しやすいよう、農園内に託児施設を設置しました。これらの取り組みにより、3名の女性新規就農者を確保。女性目線での商品開発やSNSによる情報発信により、地域特産品のブランド価値向上と新たな販路開拓にも成功しました。
詳細な説明
「令和6年度(第2回)経営局関係補助金等」の各事業について、詳細をまとめています。
1. 新規就農者確保緊急円滑化対策のうち農業の魅力発信支援事業(就1)
- 補助金額:事業規模に応じて設定
- 補助率:定額(事業費の100%補助)の可能性が高い
- 補助対象経費:農業の魅力発信に関する費用(広告宣伝費、イベント開催費、教育プログラム開発費など)
- 補助対象者:農業団体、農業法人、教育機関など
- 申請期限:2025年3月頃に公募開始予定
- 申請要件:新規就農者の確保に向けた具体的な計画を有していること
2. 雇用就農緊急対策のうち雇用体制強化事業(就2)
- 補助金額:事業規模に応じて設定
- 補助率:1/2以内(自己負担50%)の可能性あり
- 補助対象経費:雇用環境整備費、研修費用、就農支援システム導入費など
- 補助対象者:農業法人、農業経営体
- 申請期限:2025年3月頃に公募開始予定
- 申請要件:雇用就農者の受入れ計画を有していること
3. 雇用就農緊急対策のうち女性の就農環境改善・活躍推進事業(就3)
- 補助金額:事業内容により異なる
- 補助率:2/3以内(自己負担33.3%)の可能性あり
- 補助対象経費:女性向け研修費用、託児施設整備費、就労環境改善費用など
- 補助対象者:農業法人、農業団体、地方公共団体
- 申請期限:2025年3月頃に公募開始予定
- 申請要件:女性の就農促進に向けた具体的な計画を有していること
4. 雇用就農緊急対策のうち外国人材呼込み体制強化支援事業のうち現地説明・相談会の開催支援(就4)
- 補助金額:イベント規模により設定
- 補助率:定額(事業費の100%補助)の可能性あり
- 補助対象経費:海外での説明会開催費用、通訳費、渡航費など
- 補助対象者:農業団体、人材派遣会社など
- 申請期限:2025年3月頃に公募開始予定
- 申請要件:外国人材の受入れ計画を有していること
5. 雇用就農緊急対策のうち外国人材呼込み体制強化支援事業のうち外国人材育成支援(就5)
- 補助金額:育成プログラムの規模により設定
- 補助率:1/2以内(自己負担50%)の可能性あり
- 補助対象経費:外国人向け研修費用、教材開発費、通訳・翻訳費など
- 補助対象者:農業法人、農業団体、教育機関
- 申請期限:2025年3月頃に公募開始予定
- 申請要件:外国人材の育成計画を有していること
6. 畜産生産性向上等緊急支援対策のうち畜産生産性向上技術提供体制構築事業(監1)
- 補助金額:事業規模に応じて設定
- 補助率:1/2以内(自己負担50%)の可能性あり
- 補助対象経費:IoT・AI技術導入費、システム開発費、研修費用など
- 補助対象者:畜産農家、畜産関連団体
- 申請期限:2025年3月頃に公募開始予定
- 申請要件:畜産生産性向上に向けた具体的な計画を有していること
申請手順
「令和6年度(第2回)経営局関係補助金等」の申請手順は以下の通りです。
- 公募要領の確認
- 農林水産省のウェブサイトで公開される公募要領を熟読し、各事業の詳細な要件や提出書類を確認。
- 事業計画の策定
- 補助金の目的に沿った具体的な事業計画を策定。地域の特性や自社の強みを活かした計画を立てることが重要。
- 必要書類の準備
- 申請に必要な書類を揃える。事業計画書、収支計画書、会社概要、直近の決算書類などが一般的に求められる。
- 申請書の作成
- 公募要領に従って申請書を作成。記入漏れや誤記がないよう、慎重に作業を進める。
- 申請書の提出
- 指定された提出方法(電子申請システムや郵送など)で、期限内に申請書を提出。
- 審査・採択
- 提出された申請書が審査され、採択結果が通知される。審査に数か月かかる場合もある。
- 交付申請
- 採択後、交付申請の手続きを行う。詳細な事業計画と資金計画の提出が必要。
- 事業実施
- 交付決定後、計画に基づいて事業を実施。進捗状況を適切に管理し、必要に応じて報告を行う。
- 実績報告
- 事業完了後、実績報告書を提出。補助金の確定額が決定される。
まとめ
「令和6年度(第2回)経営局関係補助金等」は、広島県三次市、庄原市、安芸高田市の農業経営者にとって、事業拡大や経営改善の絶好の機会となります。新規就農者の確保、雇用環境の整備、女性農業者の活躍推進、外国人材の活用、畜産業の生産性向上など、幅広い分野で支援が用意されています。
地域の特性を活かした事業計画を立て、この補助金を有効活用することで、農業経営の持続的な発展につながることが期待されます。ただし、申請手続きは複雑で専門的な知識が必要となる場合もあるため、補助金申請のサポートが必要な場合は、広島県三次市、庄原市、安芸高田市で対応可能な行政書士に相談することがおすすめです。何かご不明な点がございましたら、弊所までどうぞお気軽にお声かけ願います。